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女子ソフトボール日本代表 上野由岐子選手 スタンドインガールズからのインタビュー

上野由岐子選手へのインタビュー

今回は、女子ソフトボール日本代表の上野由岐子選手に取材させていただきました。

あなたの質問が“ソフトボール日本代表”に届くかも!?」企画で皆様からいただいた質問の中から、いくつかの質問に答えていただきました!

上野選手の言葉は、一つ一つに深みがあって心に響きました。 是非ご覧ください!

PROFILE

上野由岐子選手

福岡県福岡市出身のソフトボール選手。女子ソフトボール日本代表。 アテネオリンピック銅メダリスト、北京オリンピック・東京オリンピック金メダリスト。 九州女子高等学校(現・福岡大学附属若葉高等学校)出身、ビックカメラ女子ソフトボールチーム高崎所属。

START

不安要素を作らない為にも

――試合前日や試合前に必ずおこなっているルーティンがあれば教えてください。

上野由岐子選手 以下:上野選手) ルーティンは無いです!…というよりも、あえてルーティンを作らないようにしています。ソフトボールは外競技なので、いつ何が起こるか分からない。例えば、雨が降って試合時間が遅れました等、色々なアクシデントが起こり得ます。その際に、いつもやっている・やれているルーティンが出来なくなったら、それが不安要素になってしまいます。

逆に、どのような状況でも常に対応できるように意識しています。急に試合時間が早まっても、試合時間が伸びても、海外とかだと簡単に試合時間が変更になったりするので…。心の余裕を持たせる為にも、あえてルーティンは作らずに、むしろ不安要素を作らないようにしているという感じです。

(上野選手) 食事に関しても、何を食べるかは決めていないです。ただ、試合前だから炭水化物を摂る、試合後だからたんぱく質を多く摂る、などは意識してやっていますね。
試合前だからご飯を何杯食べる!とか、カレーにはしない!とかは特にはしていなくて…逆に、例えカレーを食べても、おにぎりを食べても、かつ丼や牛丼を食べても、何を食べてもパフォーマンスは変えない、変えさせない!というのを自分の中の強みに出来るようにはしています。

ただ、試合前に何を食べるかで、次の日のパフォーマンスに程度影響されることは知識として理解しているので、「じゃあ試合前だからこそ何を食べた方が良いのか」は知識として持っていて、選べるようにはしています。

若い選手とのコミュニケーションも大事にしながら

――オフの日の過ごし方を教えてください。

(上野選手) そうですね。えーっと、何をしているかなあ(笑)
その時にしたい事をしていますね。オフだから何かをするというのは決めていなくて、例えば、時間がある日は若い選手と一緒に食事に行ったり、若い選手を連れて買い物に行ったりという事もしています。逆に、今日は一人でいたいなと思う時もあるので、そういうときは一人でドライブをしたりして自分の時間を大事にしています。休みだから特にこれをするっていうのは決めていないですね。

緊張感との向き合い方

――2歳上のお兄ちゃんの後を追い、ソフトボールを始めました。今小学校4年生ですが、上野さんのようなピッチャーになりたくて頑張っています。練習試合等で時々マウンドに立たせてもらうのですが、バッターが立つと緊張します。緊張しない方法はありますか?

(上野選手) 緊張感に関して、私はすごくポジティブに捉えています。緊張感があるからこそ良いパフォーマンスが出来ると考えていますね。
緊張感がなくなるとどうなるかというと、油断をしてしまう。緊張感がある時は不安があったり、どうしようと思うことが多いですよね。逆に自分に余裕があって自信があると緊張しないですよね。でも、自信があるという事は良い事でもありますが、捉え方を間違えると油断に繋がってしまいます。油断をしない為にも、私は良い緊張感を保つようにしています。

例えば、相手が強かったり、自分自身が打たれたらどうしようと思う事があっても「あ!緊張してきたから、今日は良いピッチングが出来る!」というふうに捉え直して、緊張感を力に変えられるように、捉え方を変えてマウンドに上がるようにしています。

いかにリラックスした投球が出来るか

――どうしたら上野選手のように速いボールが投げられますか?

(上野選手) 速いボールを投げる為に一番大事な事は「力を入れない事」です。力めば力む程、人間は身体を速く動かす事が出来ないので、いかにリラックスした状態で身体を動かす事が出来るかが大事なポイントになってくると思います。

(上野選手) 「じゃあ、どうやって力を入れずにボールを投げるか?」というと、バランスやタイミングが大事になってきます。毎日の練習の中でどのバランスで、どのタイミングの時に、自分が一番リラックスできる(=力まない)投球が出来ているのかを、練習で突き詰めて見つけていくことで、球速アップに繋がると思います。

どうしても速いボールを投げたくて、つい力んでしまう子が多いですが、力を入れると身体の動作が遅くなるので、そこに気を付けてもらえればと思います。

――おすすめの練習方法はありますか?

(上野選手) どうしても人間は上半身が器用なので、力んでしまう時に肩や手に力が入ってしまう事が多いのですが、「その力を下半身に持っていく事」ですね。特に足首や足の裏など、足の先になればなるほど鈍感になっているので、その鈍感な部分にどれだけ力を込められるか。上半身の無駄な力を、下半身に集めて力を抜く事がおすすめです。内転筋などの内側に力を込めることで、バランスも良くなりますし、体幹もしっかりとしてブレなくなってきます。内転筋を鍛えるというよりかは、内側への意識を高める感じですね。

チームで一番上手い選手になりたい

――学生時代に、部活の練習以外でされていたトレーニングや練習はありますか?

(上野選手) 学生の時も、高校生の時も、「チームで一番上手い選手になりたい!」という事が目標でした。
チームで一番になるという事は、チームの練習や他の人の練習にプラスαで何かをしなければ、人の上に立つ事は出来ないと考えていました。ですので、部活動でやる練習プラスαを、その時々で出来る何かをいつも意識して取り組んでいましたね。中学生の頃は学校も近くでしたし、早く帰って来られていたので、帰宅してから走りに行ったり、素振りをしたり…色々出来る時間もあったので、そのようなトレーニングをおこなっていました。

高校生になると、帰ってくる時間も遅くなって、帰ってきたらお風呂入って寝るだけという生活をしていたので…どちらかというと、ストレッチやシャドー等の時間をかけなくても出来るプラスαを意識しながら、取り組んでいましたね。

とにかく楽しむ事!

―――私が生まれる前から、実業団の世界で活躍されている上野選手。今も現役で常に進化をされていて、老若男女さまざまな方に夢を与えていて、私もそのうちの一人です。そんな上野選手が人生で一番大切にしている考えや言葉はありますか?

(上野選手) すごい質問ですね。その質問が出てくる事がすごい!笑

(上野選手) モチベーションを保つうえで大事にしている事は「楽しむこと」ですね。
ソフトボールが好きだからこそ、ここまで長く現役選手として続けられているというのが根底にあるので、私がソフトボールを嫌いにならない限りは、おそらくソフトボールを辞めるという選択肢はないと思います。
ただ、そのモチベーションを維持していく中では、何でもそうですけど、やっぱり楽しくないと頑張れないですよね。

私が初めてソフトボールと出会った時に、「上手くなりたい!」と思った一番の理由は「楽しかったから」です。
楽しかったから、「みんなみたいに投げられるようになりたい」「打てるようになりたい」「捕れるようになりたい」という思いが生まれました。
そういった意味でも、今も子どもの頃と同じように、どれだけソフトボールを楽しめるかを考えています。

ピッチング練習ひとつにしても、ただボールを投げるだけではなく、「もっとこうやったら面白いボールを投げられるのではないか」「みんなが投げた事ないボールが投げられるのではいか」という好奇心のもとに練習を取り組んでいます。そうする事で、モチベーションを維持出来ているのではないかなと感じています。

努力を続けていけば、それがいつかきっと大きな力になる

(上野選手) あとは、生活の中に関する話だと、特別何かの言葉を意識しているというわけではなのですが、「毎日新しい自分に出会っている」と思っていて。かっこよく言うと「今を生きる」じゃないですけど…

(上野選手) 明日の自分がどういう状況になるかは、明日になってみないと分からないじゃないですか。予測出来ないものと次の日に出会うわけなので、「毎日新しい自分に出会う」と思って生活する事によって、毎日がより刺激的な一日になります。

例えば、昨日たくさん試合で投げたから今日は朝起きたら「そうだよね、肩が痛いよね。筋肉痛が出ているよね」や「朝起きるのが辛いよね」という事を、朝起きた時に感じられるかどうかをすごく大事にしていて…
オフの次の日だったら「やっぱり休むと身体元気だな」と思う事が出来たり、「昨日早く寝たのになんで眠たいのだろう」と思う日もあれば…(笑)
毎日毎日、同じ朝を迎えるわけですけど、毎日違う感情で、自分の体調を感じる事をしっかりと受け止めて受け入れて、「じゃあ今日はどういう1日にしよう!」と考えると、やっぱり毎日が楽しいですし、その毎日の積み重ねで一週間が過ぎて…、一ヶ月が過ぎて…、あっという間に一年が経って…という感じですね。

それはソフトボールをしていて、「努力と一緒だな」と改めて感じています。
同じような感覚で、ソフトボールも楽しみながら努力を続けていければ、それがいつかきっと大きな力になると思っています。そのように、今の自分の感情や、今の自分の身体の状況というものをすごく大事にしていますね。

今を生きる

(上野選手) 長く続ければ続けるほど、若い頃の気持ちってやっぱり忘れてしまいますし、今は出来なかった頃の自分を正直忘れているので…「何で出来ないの?」と思うことも多々ありますが、「じゃあ自分が10歳の時どうだったかな」「自分が実業団入って3年目の時はどのようなピッチャーだったかな」というのを思い出す事で、自分の考え方の幅も広がっていくので、そのような事をしっかりと自分の中で振り返られるように。

振り返ってはいますが、過去には戻れないですよね。だから、「時間が刻一刻と経つ=自分達は前に進むしかない」と思っています。
私にとっては、東京オリンピックももう過去の自分なので。あの時の自分の状態と、今の自分の状態はもちろん身体の感覚も違いますし、身体の状態も変わっているので…あの時のようなピッチングがしたいと思うのではなくて、「今自分が出来る100%のパフォーマンスは何か」を求めた方が、絶対良い結果が出せるなと考えていて、過去の栄光にしがみついても仕方ないなと思っています。
それよりも新しい何かを見つけていった方が、自分自身も楽しいので、そういう風に「今を生きる」ようにしていますね。

スタンドインガールズへ

――最後に、スタンドインガールズに向けてメッセージをお願い致します。

(上野選手) このサイトを拝見して、「女子だって野球が好き」というワードはすごく心に刺さるなと思いました。「女子だからどう」とか「野球だからどう」とかではなく、自分が「好きだ!」と思った事を一生懸命貫いて自信を持って、さっき言ったように、前にしっかりと進んでいって欲しいなと思います。
ボールひとつで繋がれる競技が野球やソフトボールなので、そういう想いを大事にして。

今回このようなサイトを、私も知ることが出来たので、女子選手やマネージャー、またそれを応援する保護者の方やファンの皆さんに、女子力と言いますか、「女子のパワー」を広めていってもらえると嬉しいです。
私もどんどん広めていけたら良いなと思っています。頑張りましょう!

インタビュー後には、スタンドインの店内を見ていただきました!
上野由岐子選手、ご来店いただきありがとうございました!

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